2010/5/19 研究に利用する装置(6)トレッドミル
前回、ペプチドの血圧降下作用を検討する際に用いる「非観血式血圧測定装置」をご覧いただきました。今回は、私たちが、ペプチドの「抗疲労作用」を調べるときに利用しているマウス用の「トレッドミル」を紹介します。
疲労予防あるいは疲労回復といった抗疲労作用は、食品の保健的機能として注目されているものです。今回の「トレッドミル」は、マウスを強制的に走らせ、その走行時間を測定することにより、疲労状況を観察する装置です。たとえば、あるペプチドを予め経口投与した場合に、マウスの走行時間が延長すれば、そのペプチドには疲労予防作用があることが期待できます。
私たちの研究室では、下の写真の装置を用いて、食肉タンパク質の酵素分解物などの抗疲労作用を検討してきました。その結果、経口投与により、マウスの走行時間を顕著に延長させる抗疲労ペプチド(Asp-Leu-Tyr-Alaなど)を見出すことに成功しました。これまでの検討から、これらのペプチドは、抗酸化作用(スーパーオキサイドイオン消去能)により、抗疲労作用が発現しているものと考えています。
手前のコントローラーの奥にある傾斜したボックス中の床にはゴム製の可動ベルトがあり、その上をマウスに走ってもらいます。下の絵のような感じでマウスは、ボックスの中を走ります。マウスにはちょっと気の毒なのですが、一生懸命に走ってもらうために、右端の部分には弱い電気を流しています。
「研究に利用する装置」シリーズ(1)〜(6)は、主にペプチドの研究に関係する実験装置の紹介でした。次回からの4回は、大畑素子先生を中心として進めている香りや味といった「嗜好性」関係の研究に利用する実験装置の紹介をします。
- (1)HPLC
- (2)LC/MS
- (3)プロテインシークエンサー
- (4)自動ペプチド合成装置
- (5)非観血式血圧測定装置
- (6)トレッドミル
- (7)GC-匂い嗅ぎ装置
- (8)GC/MS
- (9)SAFE
- (10)味覚センサー