2010/6/17 研究のキーワード(2)メイラード反応
食品における重要な化学反応として、メイラード反応があります。食品を加熱した際に、アミノ酸やタンパク質の「アミノ基」と糖質の「カルボニル基」が反応することにより、食品に様々な変化をもたらします。
メイラード反応が食品にもたらす主な変化として、「色調」と「風味」があります。メイラード反応は、「非酵素的褐変反応」とも呼ばれるように、褐色物質を生成します。具体的には、コーヒー、キャラメル、味噌、醤油といった食品の色調物質です。また、食品を加熱することにより、もとの食材にはない豊かな風味が得られますが、これもメイラード反応により生成する物質が大きく関わっています。最近では、メイラード反応生成物(メラノイジンなど)の保健的機能も注目されており、抗酸化作用などが研究されています。
私たちの研究室では、水畜産副産物に含まれるコラーゲンの酵素分解物(コラーゲンペプチド)に糖類を加え、加熱して得られるメイラード反応生成物の性質を検討してきました。その結果、コラーゲンペプチドから得られるメイラード反応生成物には、強い抗酸化作用や血圧降下作用があることがわかりました。また、コラーゲンペプチドは無味無臭に近いものですが、メイラード反応により好ましい風味が付与されることも判明しました。現在、食品やペットフード素材としての利用も検討しています。
ところで、ほとんどのペットフードは、高温加熱処理を経て製造されます。したがって、ドッグフードやキャットフードといったペットフードの中には、必ずメイラード反応生成物が存在しています。私たちの研究室では、ペットフード中におけるメイラード反応生成物についても検討を進め、美味しいペットフードの誕生につながる研究も進めています。
なお、メイラード反応については、以下の「フード・ペプタイドトピックス」でも解説していますので、こちらもぜひご覧ください。