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2011/07/15 『ぼくらはそれでも肉を食う』(本の紹介1)

先日、アエラという雑誌に、『ぼくらはそれでも肉を食う ~人と動物の奇妙な関係~』(柏書房、\2,520)という本が紹介されていました。早速入手して読んでみましたが、なかなか読み応えのある内容でした。



私たちは犬や猫といった伴侶動物をこよなく愛す一方で、牛や豚といった家畜を食べています。人間と動物の関係を考えた場合、自らの行動に悩ましさを感じる方も少なからずいることでしょう。こういった悩ましい事柄に対して、本書は一方的な考え方を押し付けていないところに好感が持てます。ご参考までに、以下に本書の目次をあげておきます。

第1章 人間と動物の相互関係をめぐる新しい科学
第2章 かわいいのが大事 ~人間のように考えてくれない動物についての人間の考え~
第3章 なぜ人間は(そしてなぜ人間だけが)ペットを愛するんだろう?
第4章 友だち、敵、ファッションアイテム?人とイヌのいろんな関係
第5章 「高校一の美女、初のシカを仕留める!」 ~動物との関係と性差~
第6章 見る人しだい ~闘鶏とマクドナルドのセットメニューはどっちが残酷?~
第7章 美味しい、危険、グロい、死んでる ~人間と肉の関係~
第8章 ネズミの道徳的地位 ~動物実験の現場から~
第9章 ソファにはネコ、皿には牛 ~人はみんな偽善者?~

私の所属する動物資源科学科は、45年前に畜産学部畜産学科として発足しました。畜産学科の時代、主として対象動物は「家畜」で、食料としての動物でした。12年前に動物資源科学科と名称変更して以降、扱う動物の範囲は広がり、現在では伴侶動物も重要な教育研究対象となっています。私自身も当初多少の違和感がありましたが、ペットフードの研究などを行ううちに新しい「動物資源科学」にだいぶ馴染んでしまいました。

今回紹介した本では、“Anthrozoology”という学問を「人類動物学」と訳していますが(本書は翻訳本です)、あまり適訳ではないような気がします。私たち動物資源科学科のカリキュラムに「人と動物関係学」(動物行動学研究室の松浦晶央先生が担当)という科目がありますが、こちらの名称の方がしっくりとします。

多少関連する内容の本を、こちらの記事でも紹介していますので、どうぞご覧ください。

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