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2011/08/05 『日本人の食欲は世界をどう変えた?』(本の紹介3)

今回紹介するのは、『日本人の「食欲」は世界をどう変えた?』(鈴木裕明, メディアファクトリー新書, \777, 2011/6)です。本の帯にあるように、食料自給率関連の内容と言ってよいでしょう。食料自給率を扱った一般向けの書籍は、これまでにもかなりの数が出版されました。本書では、それらの内容は3つの主張に集約できるとしています。すなわち、(1)農地面積の狭い日本農業は競争力に乏しく、関税等で保護して自給率を高めるべき、(2)日本農業の得意分野を強化すれば保護措置なしで自給率向上は可能、(3)食料安全保障を心配する必要はなく、自給率にこだわる必要はない、ということです。既刊本の内容を踏まえていることや読みやすい記述であることから、食料自給率入門書の1冊目として本書はお勧めできます。



本書の著者は、食料自給率の数字を通して日本人の「食」のあるべき方向を考えたいと述べていますが、食料自給率というやや硬い主題をうまく扱っています。個人的には、第3章「日本のグルメはどう見える?」の「日本が発見したイベリコ豚」の部分を興味深く読みました。「日本人の食欲は世界にいい影響を与えている」という著者の主張は、商社(伊藤忠商事)に所属する経済アナリストならではという気もしますが、それなりの説得力もあります。皆さんはどのように感じられるでしょうか。

「メディアファクトリー新書」は昨年創刊したばかりの新書シリーズです。既刊書のリストを見ると、アレレといった感じのタイトルもありますが、今回紹介した本はかなりしっかりとした内容です。

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