2011/08/13 研究のキーワード(6)嗜好性
食品の働きは大きく、一次機能(栄養)、二次機能(嗜好)、三次機能(生体調節)の三つに分けられます。近年、食品の三次機能に関する研究が飛躍的に発展し、その成果を生かした機能性食品の開発も盛んです。しかし、食品として消費者に長く受け入れられるためには、二次機能を重視した嗜好性の高い製品であることが不可欠です。すなわち、機能性食品であっても「美味しくて体に良い」食品であることが大切です。
食品の嗜好性(美味しさ)を決める要因として、まず味があげられます。食品の味は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味という基本5味によって決定されます。私たちの研究室では、食品タンパク質の分解により生成するペプチドの生体調節機能についての研究を進めてきましたが、現在はペプチドの「味」にも注目しています。下の写真は、「味覚センサー」を用いた実験の様子ですが、この装置の導入により、食品やペットフードの味評価が進められています。人間や動物の舌による官能試験と味覚センサーによる測定結果を交えて、ペプチドを利用した美味しい食品やペットフードの誕生を目指しています。
食品の嗜好性には、味以外にも、香り、食感、色や形状、さらには環境や食体験など様々な要因が関わっています。私たちの研究室では、これらの要因の中では、とくに「香り」に注目しています。香りは、味に比べると、かなり複雑な現象です。人間や動物が香りを感知するメカニズムについても、その概要が明らかにされたのは最近のことです。また、香り成分の種類は非常に多く、低濃度で大きな影響を及ぼす物質が多いことも解析を困難にしています。私たちの研究室で行っている研究テーマのひとつとして、メイラード反応により生成する香りに関するものがあります。下の写真は「GC-匂い嗅ぎ装置」を用いた実験の様子ですが、他にも「GC/MS」などの分析機器を駆使して、食品やペットフードの香り解析を行っています。
なお、食品やペットフードの嗜好性については、以下の「フード・ペプタイドトピックス」にも関連情報がありますので、こちらもぜひご覧ください。