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2011/08/21 『女子大生マイの特許ファイル』(本の紹介7)

大学における教育研究においても「特許」が重要視されるようになって久しいですが、農学系の学部ではまだ特許関係の講義をカリキュラムに入れているところは少ないようです。北里大学獣医学部のカリキュラムにも特許関係の科目はありません。特許など知的財産権に関してある程度の知識をもっておくことは大切なので、私(有原)は食品関係の講義の中で簡単な解説をしています。ときどき、卒業生から役に立ったという声も聞いています。

この分野には初学者向けのよい本が少なかったのですが、『女子大生マイの特許ファイル』(稲森 謙太郎, 楽工社, \1890, 2010/12)は、特許関係の本としてはわかりやすい良書です。タイトルや表紙デザインほどくだけた内容ではなく、「女子大生マイ」のイラストが登場するのは表紙と冒頭の登場人物の2か所だけで、本文部分はそれほど柔らかい本ではありません。ただ、かなりのボリュームのある本ですが(349ページ)、読み進むのに苦痛は感じませんでした。著者が目指した「知的財産権分野の楽しい入門書」は実現できていると思います。


昨年の暮れに出版されてから、書評などにも結構登場していますが、総じて評価が高いようです。孫正義、ホリエモン、所ジョージ、菅直人、ドクター中松といった著名人の発明がたくさん登場する点もなかなか楽しいところです。また、個々の発明者にきちんと取材している点も、たいへんな労力を払っているものと感心しました。京都大学の山中伸弥教授のiPS細胞に関する発明についても詳しく紹介しているので、生命科学分野の読者にとっても有益でしょう。

なお、特許などの知的財産権については、以下の「フード・ペプタイドトピックス」にも関連情報を載せているので、こちらもご覧ください。

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