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2011/10/21 『正しいリスクの伝え方』(本の紹介18)

今回紹介する本は、『正しいリスクの伝え方 放射能、風評被害、水、魚、お茶から牛肉まで』(小島正美, エネルギーフォーラム, \1260, 2011/6)です。この本の帯には、「ただちに健康への影響はありません」ってどういうこと?とありますが、福島原発事故で有名になったこのフレーズの意味が気になった方は多いのではないでしょうか。本書では、毎日新聞編集委員である著者が、リスク(危険性の度合い)情報の伝え方の重要性について論じています。



福島原発事故が起きた後に、食品安全委員会では放射性物質の暫定規制値についての審議が行われましたが、これほど大切なことの決定が「世論という妖怪に負けた」(本書の表現)というのは由々しいことです。さらに、この世論というのがたいした数ではないメールや電話だったということにも驚かせられます。科学的データに基づく「客観的リスク」と私たちの「体感リスク」は往々にして異なり、情緒的なシーンやセンセーショナルな報道などが体感リスクを高めてしまい、真のリスクを知ることを難しくしています。

本書(主な目次は下記)では、福島原発事故に関連した話題に多くのページが割かれていますが、BSE全頭検査、花王エコナ、焼き肉ユッケ事件、食品添加物といった、食の安全・安心に関わる事例が取り上げられています。「食」と「リスク」の関係を理解するのに役立つ本だと思います。

  • 第1章 放射線のリスクはどれくらいか
  • 第2章 リスク情報の伝達の秘けつはタイミングと役者の存在
  • 第3章 リスクの伝え方と風評被害
  • 第4章 「安全だけど安心できない」構図の裏に何があるか
  • 第5章 BSE-歴史に残るリスクコミュニケーションの大失敗
  • 第6章 メディアの「おかしな報道」にどう対処したらよいか

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