2011/12/24 『テレビは余命7年』(本の紹介26)
今回紹介するのは、『テレビは余命7年』(指南役著, 大和書房, \1470, 2011/8)という本です。先日、「家政婦のミタ」というドラマの最終回の視聴率が40%に達したというニュースがありました。ドラマの視聴率が40%を超えたのは、実に11年9か月ぶりとのことです。それだけテレビ界が厳しい状況に置かれているということでもあります。マスメディアの両輪であり続けた新聞やテレビは、近い将来に廃れてしまうとよく言われています。すでに新聞は購読者がかなり減っていて、身近にいる学生さんでも新聞を取っている諸君はかなり稀になりました。
近年、BSや地デジの導入など、今ひとつ効果がわからないテレビ改革が進められてきました。インターネットの登場が新聞やテレビの大きな衰退要因のひとつとも言われていますが、他にもいろいろとあるようです。本書では、テレビの誕生から今日に至る経過とテレビの未来が詳細に語られています。本書によると、テレビ界は今、「幕末」を迎えているそうです。私が関わっている「食品」という領域は、テレビとの関係がかなり強いと思います。多くの方がテレビから食に関する健康情報などを得ていますし、テレビコマーシャルも消費者の購買行動に大きな影響力を持っています。テレビの衰退は、食品産業全体に少なからず影響することでしょう。そんなこともあって、かなり興味深く本書を読むことができました。
ところで最近、「スパイダー」なるものがよく話題にあがります。本書でもテレビ界の「最終兵器」として紹介されています。地上波8チャンネル分の番組を1~2週間分すべて録画してしまうハードディスクレコーダーの一種です。ただ、通常のレコーダーと大きく異なるのは、その「検索性」の高さです。インターネットが普及した後に、多くの方がテレビに対して持っている不満点として、検索性が致命的に悪いことがあげられます。スパイダーは、強力なキーワード検索ができます。たとえば「乳酸菌」と入力すると、乳酸菌が扱われている番組だけでなく乳酸菌飲料などのCMまでもが検索結果として表示されます。このスパイダーがテレビ界の救世主になるかのかはわかりませんが、テレビの利用方法が大きく変わる可能性がありそうです。
- 第1章 テレビがつまらない
- ~視聴率至上主義の行く末~
- 第2章 テレビのビジネスモデル
- ~もう限界のローカル局と高給取り~
- 第3章 テレビのピンチ
- ~そして誰も見なくなった~
- 第4章 テレビは公正か?
- ~テレビタレント、テレビ映画の粗製濫造~
- 第5章 テレビの歴史
- ~新聞とテレビの「密接」の始まり~
- 第6章 テレビの魔物NHK
- ~「民放より面白い」は法律違反?~
- 第7章 海外のテレビ
- ~もはや日本との比較の余地はない~
- 第8章 テレビの未来
- ~そして余命7年~
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