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2011/12/27 『遺伝子組み換え食品との付き合いかた』(本の紹介27)

今回紹介するのは、『遺伝子組み換え食品との付き合いかた GMOの普及と今後のありかたは?』(元木一朗著, オーム社, \1470, 2011/11)という本です。最近、TPP問題に絡んで、遺伝子組み換え食品が話題にあがることが多くなっています。日本では遺伝子組み換え食品は不人気で、「遺伝子組み換え大豆不使用」と表示した豆腐や納豆をよく見かけます。しかし、その一方で、家畜の飼料では輸入遺伝子組み換え作物の利用がすでに主流になっています。



本書は、冒頭の「プロローグ」の一見遺伝子組み換え食品とは関係なさそうな話題から始まっています。しかし、この部分の記述は、食を科学的にとらえるために重要なものです。第1章以降、遺伝子組み換え食品の歴史や技術内容をていねいに、しかし難しくなり過ぎない範囲で説明しています。遺伝子やタンパク質といったところから説明しているので、じっくりと読めば理科系でない方も十分に理解できると思います。第2章には「スーパーの棚を見てみよう」という節がありますが、私たちの周りにどのくらい遺伝子組み換え食品が浸透しているかがよくわかります。

本書では、遺伝子組み換えのメリットとデメリットの双方を取り上げています。そのうえで、どのように付き合っていくべきかが論じられています。その答を見つけるのは難しいことですが、最後の「プロローグ」であげられている「食を選択する自由」が私たちにあることの大切さに異を唱える方は少ないのではないでしょうか。本書の随所にあるコラムでは、「遺伝子組み換えカイコ」や「ハワイのパパイヤ」といった興味深い話題も取り上げられています。本書の目次を以下にあげておきます。

  • プロローグ 食を科学的に考える
  • 第1章 遺伝子組み換えの技術と導入の歴史
  • 第2章 身の周りの遺伝子組み換え作物
  • 第3章 遺伝子組み換え作物の種類と作付け状況
  • 第4章 遺伝子組み換え作物のメリット・デメリット
  • 第5章 遺伝子組み換え作物との共存
  • エピローグ 食の選択の自由について

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