2012/03/12 『必ず来る! 大震災を生き抜くための食事学』(本の紹介37
今回紹介するのは、『必ず来る! 大震災を生き抜くための食事学 3・11東日本大震災 あのとき、ほんとうに食べたかったもの』(石川伸一著, 主婦の友社, \1365, 2012/3)という本です。著者の石川伸一氏は、一昨年まで北里大学獣医学部動物資源科学科で教員をされていた私の元同僚の方です。現在は、宮城大学食産業学部の准教授として活躍されている分子レベルの食品・栄養学者です。北里大学から宮城大学に移られてからほぼ1年後の3月に、仙台であの大震災に遭遇されました。「地震の国」に暮らす私たちが避けることができない大震災に対して備えを、本書では体験者が説得力ある語り口で伝えています。

冒頭に掲載されているカラー写真からは、報道では伝わってこなかった震災直後の仙台の様子が生々しく感じられました。本文でも、地震後に仙台市内で起きた真実の情景がリアルに表現されています。さらに、「必ず来る大震災」のために、具体的に何を備えればよいのかが実体験をもとに説かれています。
本書の随所に挿入されているイラストは、石川先生の奥様である石川繭子さん(北里大学卒業生)によるものです。ほのぼのとしたイラストは、明らかに本書の魅力を高めています。たいへん読みやすく丁寧に書かれた本で、大震災への確かな備えにもなりますので、多くの方に一読をお勧めしたいと思います。私も本書で提示されている備えを実践するつもりです。こちらにも著者インタビューなど本書についての詳しい情報がありますのでご覧ください。
以下に本書の目次をあげておきます。
- 第1章 私の東日本大震災の経験
- -地震後の1カ月間に感じていたこと-
- 第2章 これまでの震災から学ぶ教訓
- -震災時の「食」から見えてくるもの-
- 第3章 大震災を生き抜くための「食」とは?
- -震災前の心構えと備蓄食の条件-
- 第4章 では、何をどう「常備蓄」しておけば安心か
- -食料、水、熱源は自分で備える-
- 第5章 震災と、どうつきあっていくか?
- -「地震の国」のにんげんだもの-
- 第6章 福島原発事故と放射性物質
- -リスクと安全にどう向き合えばよいか?