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2012/03/28 『飼い喰い』(本の紹介39)

今回紹介するのは、『飼い喰い 三匹の豚とわたし』(内澤旬子著, 岩波書店, \1995, 2012/2)という本です。この本の著者の内澤氏は、『世界屠畜紀行』という話題作を5年前に書かれた方です。『世界屠畜紀行』は、アメリカ、インド、エジプト、チェコ、モンゴル、フランス、そして日本の屠畜現場を取材した屠畜場イラストルポでした。このときから著者が抱いた「肉になる前」の家畜の姿が知りたいという欲望が本書の誕生につながったとのことです。



本書は、豚小屋建設から始まり、3頭の豚を育てあげて食するまでの1年間を克明に描いた本格的な体験ルポタージュです。「中ヨークシャー」、「三元交雑豚」、「デュロック」という3品種の豚を選んだことも、本書を興味深いものにしています。豚の飼育(養豚)がどのようなものかを、生で見るような感じで読み進むことができるでしょう。3頭の豚は最後に豚肉になって食されますが、この難しい部分もうまく書かれていて感心しました

以下に本書の目次をあげておきますが、これを眺めると本書の流れがよくわかります。

  • 見切り発車
  • 三種の豚
  • システム化された交配・人工授精
  • 分娩の現場で
  • いざ廃墟の住人に
  • 豚舎建設
  • お迎え前夜
  • そして豚がやって来た
  • 日々是養豚
  • 脱走
  • 餌の話
  • 豚の呪い
  • 豚と疾病
  • 増量と逡巡と
  • やっぱり、おまえを、喰べよう。
  • 屠畜場へ
  • 何もかもがバラバラに
  • 畜産は儲かるのか
  • 三頭の味
  • 震災が

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