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2012/05/11 『興奮する匂い 食欲をそそる匂い』(本の紹介44)

今回紹介するのは、『興奮する匂い 食欲をそそる匂い 遺伝子が解き明かす匂いの最前線』(新村芳人著, 技術評論社, \1659, 2012/4)という本です。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚を、「五感」と言っています。五感の中で嗅覚は、長らく重要度が低いものと認識されてきたことは否めません。研究対象としても、さほど人気がなかったようです。しかし、1991年の嗅覚受容体遺伝子の発見(2004年のノーベル医学・生理学賞)以降、嗅覚はホットな研究分野となりました。



本書は、匂いと嗅覚について身近で親しみやすい話題から始まりますが、化学の基礎を解説することにより、多くの読者が匂いを分子レベルで理解できるような努力がされています。さらに、分子生物学の基礎を説明したうえで、嗅覚受容体を中心とする匂いを感じるしくみが上手に伝えられています。匂いに関心のある方であれば、本書により化学や分子生物学の基礎を無理なく身につけることもできると思います。本書の後半では、嗅覚受容体やフェロモンについて専門的にかなり踏み込んだ記述もあり、研究者にとっても興味深い内容となっています。

以下に本書の目次をあげておきます。

  • 第1章 匂いと嗅覚
  • 第2章 匂いの化学
  • 第3章 匂いを感じるしくみ
  • 第4章 ゲノム
  • 第5章 匂いの遺伝学
  • 第6章 フェロモン
  • 第7章 味覚

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