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2012/07/19 『極限環境の生き物たち』(本の紹介54)

今回紹介するのは、『極限環境の生き物たち なぜそこに棲んでいるのか』(技術評論社, \1659, 2012/4)という本です。「極限環境」とは、温泉の泉源のような高温環境や極地のような低温環境など、地球上の平均的な状態とは大きく異なる環境を意味しています。こういった過酷な環境下にも、生物が存在します。本書は、「極限環境生物」を対象としていますが、ここでの「生物」は「微生物」を意味しています。



本書の著者は、若いときにイエローストーンの熱水噴出源に細菌がいる話を聞いたときに、全身が感動に震えたそうです。これが極限環境生物の研究を始めるきっかけとなりました。極限環境生物は好奇心をそそられる研究対象ですが、多くの「役立つ」研究成果ももたらしました。たとえば、好熱細菌の作る酵素は、熱に対して強いだけでなく酸やアルコールにも安定で、この性質を備えた酵素が産業的に広く利用されています。本書では、微生物学の基礎的な事項も解説されていますので、微生物学の入門書としても好適でしょう。

以下に本書の目次をあげておきます。

  • 第1章 極限環境生物の研究はなぜ重要なのか
  • 第2章 微生物学の始まり
  • 第3章 微生物学の基礎知識
  • 第4章 極限環境の生物 ①好熱菌
  • 第5章 極限環境の生物 ②好熱菌以外の生き物たち
  • 第6章 極限環境生物と宇宙の生命
  • 第7章 ヒトと地球を支える極限環境生物

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