2012/08/20 『アイスクリームの歴史物語』(本の紹介56)
今回紹介するのは、『アイスクリームの歴史物語』『(ローラ・ワイス著, 竹田円, 原書房, \2100, 2012/3)という本です。アイスクリームの原型と言える氷菓は、古代から存在していましたが、一部の特権階級のためのものでした。冷凍技術が普及する前に、氷菓を作ることはたいへんなことでした。時代が移り、欧米の代表的なデザートだったアイスクリームも、現在では世界で製造される5分の1が中国で消費されているそうです。本書は、アイスクリームがこれまで歩んできた歴史とともに、アイスクリームの将来もうらなっています。

米国人により書かれた本ですが、各国のアイスクリーム事情についても詳しく、日本における歴史も触れられています。1860年に日本の使節団が米国を訪れた際に食したのが、日本人とアイスクリームの最初の出会いだったとのことです。最初に日本でアイスクリームが横浜で作られたときには、町中の氷と塩が集められたそうです。
アイスクリームに関する豆知識の類も多く紹介されています。お馴染みの「ハーゲンダッツ(Häagen-Dazs)」というヨーロッパ風のブランド名は、アメリカ人創業者が高級感を出すために北欧風の名前を考えたという話も初耳でした。aの文字に「ウムラウト」を付けたのも、単にそれらしくするためだったそうです。本書は、写真や図版も多く、楽しみながらアイスクリームの歴史を学ぶことができます。
以下に本書の目次をあげておきます。
- 第1章 アイスクリーム草世期
- 第2章 旧世界と新世界で
- 第3章 大衆化するアイスクリーム
- 第4章 アイスクリームの黄金時代
- 第5章 コーン・アイスクリームの誕生
- 第6章 大量生産の時代
- 第7章 新たなアイスクリームを求めて