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2012/11/02 『リスクの食べ方』(本の紹介68

今回紹介するのは、『「リスク」の食べ方 ―食の安全・安心を考える』(岩田健太郎著, ちくま新書, \819, 2012/10)という本です。2011年にユッケ(生肉)の腸管出血性大腸菌O111が原因で169人が食中毒を発症し、5人の方が亡くなりました。これが、2012年7月の「レバ刺し禁止」につながりました。この間の経緯には、疑問を感じている方も多いと思います。感染症の専門家である本書の著者は、レバ刺し禁止という厚生労働省の判断に対して明確に異を唱えています。



本書の第一章におけるレバ刺し禁止に至るまでの検証は納得のいくものであり、この問題に関心のある方に一読をお勧めします。第二章以降の記述は、食中毒全般や特定保健用食品(トクホ)、さらには健康本や放射能などにまで及んでおり、それぞれに対する理解が深まります。ただ、第一章に比べるとややインパクトに乏しく各章の位置付けも曖昧であり、本書に盛り込む必然性があまり感じられませんでした。

以下に本書の目次をあげておきます。

  • 第一章 厚労省はなぜレバ刺しを禁止したのか?
  • 第二章 病気と菌の近くて遠い関係
  • 第三章 食べ物には危険がつきもの
  • 第四章 「トクホ」を摂れば長生きできる?
  • 第五章 健康本に騙されない!
  • 第六章 放射能のリスクを考える
  • 終 章 「安心」ではなく「安全」を

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