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2013/01/13 『空飛ぶ納豆菌』(本の紹介76)

今回紹介するのは、『空飛ぶ納豆菌 黄砂に乗る微生物たち』(岩坂泰信著, PHPサイエンスワールド新書, \882, 2012/11)という本です。黄砂は中国大陸の乾燥地帯から飛来する砂塵で、日本を含む東アジアの広い範囲に降り注ぎます。黄砂による東アジア全体の経済的損失は、年間7000億円とも言われています。本書の著者らは、この黄砂には細菌やカビといった微生物が付着していることを明らかにしました。黄砂と共に飛来する微生物は、どうやら生態系や私たちの健康にも影響を及ぼしているようです。



黄砂に付着して飛来する微生物のひとつに納豆菌(Bacillus属細菌の一種)があります。すでに黄砂の納豆菌を利用した製品が開発されており、能登上空3000メートルの納豆菌でつくった「そらなっとう」として金沢大の食堂や北陸のスーパーなどで販売されています。なお、本書はバイオエアロゾル学という分野の一端として「空飛ぶ納豆菌」が取り上げられていますが、バイオエアロゾル学は空気中に浮遊している微生物のありようを中心に、その影響に関するもろもろのものを研究の対象にしているそうです。

以下に、本書の目次をあげておきます。前半はバイオエアロゾル学の基礎的な話を含むやや固めの内容ですが、後半はダイナミックな研究アプローチの話を読み物的に楽しめます。

  • 第1章 地球の大気とエアロゾル
  • 第2章 いまどきの黄砂研究
  • 第3章 くっついていた二つの粒子
  • 第4章 北極圏、チベット、タクラマカン砂漠へ
  • 第5章 空飛ぶ微生物探査、能登半島
  • 第6章 見えないものへの恐怖
  • 第7章 空飛ぶ納豆菌
  • 第8章 バチルスという名の菌

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