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2013/01/31 『植物はすごい』(本の紹介79)

今回紹介するのは、『植物はすごい 生き残りをかけたしくみと工夫』(田中修著,中公新書, \840, 2012/7)という本です。獣医学部の研究室ということもあって、これまで植物関係の本はあまり紹介してきませんでした。しかし、家畜やペットといった動物たちの餌において植物は不可欠な原料です。私たちの研究室でも、猫が好む香気成分の探索でマタタビやキャットニップといった植物を扱っていますし、パパインなどの植物由来の酵素を実験に使うことも多くあります。このように、獣医学や動物資源科学領域においても植物は重要な存在ですが、カリキュラムの中では植物関係の話を聴く機会は限られています。



本書は教科書的な構成ではないので、植物全般について網羅的に学ぶことはできませんが、植物の有する数々の興味深い仕組がとても親しみやすく解説されています。動物のように積極的に逃げたり隠れたり、あるいは襲ったりすることができない植物は、外敵から身を守るために独特の防衛手段を備えています。植物の「味」もそのひとつとのことです(第二章)。本書の著者は、植物の「すごさ」あるいは「すごい」植物という表現を随所に使っていますが、植物学の予備知識がなくても植物の「すごさ」を楽しめる好著です。

以下に、本書の目次を載せておきます。

  • 第一章 自分のからだは、自分で守る
  • 第二章 味は、防衛手段!
  • 第三章 病気になりたくない!
  • 第四章 食べつくされたくない!
  • 第五章 やさしくない太陽に抗して、生きる
  • 第六章 逆境に生きるしくみ
  • 第七章 次の世代へ命をつなぐしくみ

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