2013/02/26 『世界の美しい鳥』(本の紹介83)
今回紹介するのは、『世界の美しい鳥』上田恵介監修, パイインターナショナル, \1890, 2012/12)という本です。この本の帯に、「美しく、繊細。華やかで、自由。色とりどりな世界の鳥、約180羽」とあるままの写真集です。極彩色が日本人の美意識に合致しない鳥もいますが、いずれの写真もその美しさに息を飲みます。表紙の「ライラックニジブッポウソウ」のように、私たちが目にすることのない鳥がほとんどですが、その中で「ハクセキレイ」、「シジュウカラ」、「メジロ」といった和風の色彩の鳥にちょっとホッとさせられます。
本書の最後には、立教大学の上田恵介氏による「“鳥”とは何か ―美しさと多様性の秘密」と、同じく立教大学の高橋雅雄氏による「描かれた鳥たち」という短い解説記事があります。鳥の羽色は、メラニンやカロチノイドといった色素と、羽毛の物理的構造が光を反射して生じる構造色によって決まるそうです。色素と構造色の絶妙な組み合わせが、多様な色彩の秘密ということです。また、高橋氏によると、古くから日本の絵師たちが風景の中に好んで鳥を描いたのに対して、西欧の画家たちは鳥の姿をほとんど風景に取り込まなかったそうです。その理由は説明されていませんが、なんとも気になるところです。
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