food function and safety

ニュース

2013/04/27 『ファッションフード、あります。』(本の紹介90)

今回紹介するのは、『ファッションフード、あります。はやりの食べ物クロニクル 1970-2010』(畑中三応子著, 紀伊国屋書店, \2520, 2013/3)という本です。「ファッションフード」というのは聞きなれない言葉ですが、本書の「はじめに」には、「ファッションとして消費されるようになった流行の、特に外来の食べ物を、節操なく新しいものを求めてきた日本文化への皮肉をこめてファッションフードと名づけようと思う。」とあります。典型的なファッションフードとして、「ティラミス」があげられています。



本書が対象とする1970~2010年は、1960年生まれの私にとって物心付いてからの期間と重なっているので、懐かしい思いをもって読み進みました。日本でファッションフードが本格化したのは大阪万博の1970年だったとし、この頃から日本人は食のレジャー化傾向が加速したようです。1971年にケンタッキーフライドチキンが登場し、翌年にはマクドナルドも日本に進出し、ファストフードが急速に普及しました。次々と登場したヒット食品や数々の食ブーム(たとえば、1975年の「紅茶キノコ」)も緻密にカバーされており、380頁からなる本書の情報量はかなりのものです。

付録の「ファッションフード年表」は、なんと1772年に始まり、2012年まで続いています。ちなみに、1772年には「この頃、江戸にすし、蕎麦、おでん、燗酒などの屋台店が増える」とあります。最後の2012年には、「企業監修のレシピ本、続々刊行」などがあげられています。この年表だけでも、本書を入手する価値があると思います。

以下に、本書の目次をあげておきます。

  • ファッションフード前史 1772~1969
  • 第1部 加速するファッションフード 1970年代
  • 第2部 拡大するファッションフード 1980年代
  • 第3部 自己増殖するファッションフード 1990年代
  • 第4部 拡散するファッションフード 2000年代

書籍紹介一覧へ行く