2013/06/05 『牛乳とタマゴの科学』(本の紹介96)
今回紹介するのは、『牛乳とタマゴの科学 完全栄養食品の秘密』(酒井仙吉著, 講談社ブルーバックス, \945, 2013/4)という本です。本書の「はじめに」にも書かれていますが、牛乳とタマゴにはいくつかの共通点があります。(1)生産に際して動物を殺す必要がない、(2)摂取に対して宗教的な制約がない、(3)動物の子孫継続に関係している、といったことです。ベジタリアンも、牛乳とタマゴの摂取には寛容であり、「ラクト(乳)・オボ(卵)・ベジタリアン」(Lacto-Ovo-Vegetarian)と呼ばれる人たちがいます。同じ畜産食品でも、牛乳やタマゴは食肉とは少し違ったカテゴリーにあると言えるかもしれません。

本書の著書である酒井仙吉先生(東京大学名誉教授)は、動物育種繁殖学を専門とする方です。畜産食品関連の多くの書籍は、食品畑の専門家により書かれていますが、本書は動物の専門家によるものであることも特徴のひとつです。食品である牛乳とタマゴにとどまらず、これらを生産する乳牛や鶏についてもかなりのページが割かれています。養豚や牛肉についての記述もあるので、畜産学の入門書としても好適な1冊です。
以下に、本書の目次をあげておきます。
- 第1章 世界における牛の歴史
- 第2章 日本における牛乳と牛肉の夜明け
- 第3章 牛乳を科学する
- 第4章 食品としての牛乳を科学する
- 第5章 ニワトリの祖先
- 第6章 タマゴを産むニワトリ、肉をつくるニワトリ
- 第7章 タマゴを科学する
- 第8章 食品としてのタマゴを科学する
- 第9章 健康とのかかわり
- 第10章 乳牛とニワトリの未来