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2015/02/05 『健康第一は間違っている』(本の紹介134)

今回紹介するのは、『健康第一は間違っている』(名郷直樹著, 筑摩選書, \1600, 2014/8)という本です。著者は、自治医科大学を卒業後、長く地域医療に携わってきた方です。第一章の冒頭に、早々と本書の結論が書かれています。「長生きを目指すのは間違っている」と「健康第一は間違っている」です。以前、週刊文春の著者インタビューで、「健康第一をやめるのは、いつがよいのだろうか。」という問いに対して、「自分の両親が死んだ時点が、境目ではないかと私は思います。どう年をとっていくか、本書を参考にして考えてみてください」という答が印象に残っています。



本書によると、「健康第一」という大義名分のもとで、医療はすっかり市場化されてしまったようです。医療費を削減する効果が大きくても、おたふくかぜやB型肝炎のワクチンが公費で接種できないのは、薬が売れなくなってしまうからだそうです。「医療費の抑制のために健康に気を付けるというのは、一見もっともらしいが、実は荒唐無稽な対策であることがわかる。多くの人が健康に気を付けて高齢化が進めば、医療費の高騰は避けることができない」など、なかなか言いにくいことが随所に書かれています。

以下に、本書の目次をあげておきます。

  • 第一部 長寿国日本の現実
  • 第一章 世界一の長寿国の現実
  • 第二章 健康、長寿、幸福
  • 第三章 健康、寿命、幸福を詳しく把握する方法
  • 第二部 予防・治療のウソ
  • 第四章 高血圧と脳卒中
  • 第五章 がん検診は有効か
  • 第六章 認知症早期発見の光と影
  • 第七章 ワクチン接種がなかなか進まない日本
  • 第三部 医療の役割
  • 第八章 医療はどうあるべきか
  • 第九章 解決のための処方箋
  • 終章 どこへ向かうべきか

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