2015/03/16 『哺乳類誕生』(本の紹介139)
今回紹介するのは、『哺乳類誕生 乳の獲得と進化の謎』(酒井仙吉著, 講談社ブルーバックス, \1058, 2015/1)という本です。以前紹介した『牛乳とタマゴの科学』と同じ著者によるものです。私(有原)は牛乳などの畜産食品を研究対象としていることもあって、「乳」や「哺乳類」を論じた本書をかなり興味深く読むことができました。

意外なことに、本書の冒頭(第一章)はソメイヨシノやバナナの話で始まり、最後(第十一章)は人類の未来(滅亡?)にまで至っています。地球の歴史では生命の大量絶滅が5回ありましたが(ビッグ・ファイブ)、6回目は人類がかかわるものになるのでしょうか。本書は、著者の専門領域である泌乳を制御する機構の話など、やや難解な部分もありますが、難しいとところを読み飛ばしてでも、最後まで読み終えることをお勧めします。
以下に、本書の目次をあげておきます。
- 第一部 遺伝の仕組みにあった進化の根源
- 第一章 有性生殖を可能にした進化
- 第二章 有性生殖と遺伝的多様性
- 第三章 進化の仕組み
- 第二部 新天地を求めた動物
- 第四章 水中から陸上へ移動した生物
- 第五章 陸棲がもたらした進化
- 第六章 鳥類で見られる進化
- 第七章 哺乳類で見られる進化
- 第三部 進化の究極 ―乳腺と泌乳
- 第八章 乳の進化
- 第九章 乳腺の進化
- 第十章 泌乳制御の進化
- 第十一章 進化はヒトに何をもたらしたか