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2015/06/12 『ファーマゲドン』(本の紹介148)

今回紹介するのは、『ファーマゲドン 安い肉の本当のコスト』(フィリップ・リンベリー, イザベル・オークショット著, 野中香方子訳,文:三井明子, 日経BP社, \2160, 2015/2)という本です。私は読売新聞と日本経済新聞の書評を見て、本書を購入しました。「ファーマゲドン(farmageddon)」という聞きなれない言葉は、「ファーム(farm)」+「ハルマゲドン(harmageddon)」という造語で、「農場がもたらす世界の破滅」という意味です。本書は500ページ近くのボリュームですので、全部読み通すのはちょっと骨が折れますが、食肉生産の抱える大きな問題点をあらためて知らされました。



本書の冒頭には、著者のフィリップ・リンベリー氏による長文(11頁)の「日本語版発刊に寄せて」があります。日本の食料・農業事情にも言及し、岩手山のふもとの牧草地で草を食む和牛も登場します。巻末にまとめられている文献の数も多く、全体的に丁寧に書かれた書籍という印象です。

以下に、本書の目次をあげておきます。

  • 序章 マクドナルドじいさんの農場
  • PART 1 厳しい現実
  • 第1章 カリフォルニア・ガールズ これが未来か?
  • 第2章 くちばしでつつく ラベルに隠された真実
  • PART 2 自然
  • 第3章 沈黙の春 農薬時代の始まり
  • 第4章 野生生物 大いなる喪失
  • 第5章 魚 農業が海洋資源を奪う
  • 第6章 アニマルケア 獣医に何が起きたか
  • PART 3 健康
  • 第7章 無数の抗生剤 公衆衛生上の脅威
  • 第8章 太くなるウエスト
  • PART 4 汚物
  • 第9章 豚みたいに幸せ 汚染の話
  • 第10章 南部の苦しみ 工場式養鶏の出現
  • PART 5 縮みゆく惑星
  • 第11章 土地 工場式農場がいかに多くの土地を必要とするか
  • 第12章 水より濃い 枯れる川、湖、井戸
  • 第13章 100ドルのハンバーガー 安い食物という錯覚
  • PART 6 未来のメニュー
  • 第14章 遺伝子組み換え 人の食料とするか、工場式農場の餌とするか
  • 第15章 中国 毛沢東の巨大畜産工場が実現
  • 第16章 国王、庶民、そして企業 力のありか
  • 第17章 新しい材料 食物について再考する
  • 第18章 解決策 迫り来る食料危機をどう回避するか
  • 第19章 消費者パワー あなたにできること
  • エピローグ

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