2015/11/19 『動物翻訳家』(本の紹介161)
今回紹介するのは、『動物翻訳家 心の声をキャッチする、飼育員のリアルストーリー』(片野ゆか著, 集英社, \1500, 2015/10)という本です。話題を呼んでコミック化もされた『北里大学獣医学部 犬部!』の著者により書かれています。寄藤文平氏による装画(表紙)も魅力的です。私(有原)は最初に書名を見たとき、「動物翻訳家」の意味するところを誤解しましたが、動物たちの心の声を察する動物園の飼育員のことでした。帯にも、「渾身の動物園ノンフィクション!!」とあります。

私が子供のころに比べると動物園もずいぶん様子が変わってきており、「環境エンリッチメント」なる概念の導入により、動物たちが心身ともに健康に過ごせるための数々の工夫がされています。これは「行動展示」にもつながっており、旭山動物園の成功例がよく知られています。本書では、こうした状況の中で奮闘する飼育員の姿が描かれています。私の所属する獣医学部動物資源科学科では、動物園の飼育員になりたいという学生さんが結構います。飼育員を目指すかどうかは別にして、以前紹介した『動物園革命』とあわせて読まれてみてはいかがでしょうか。
以下に、本書の目次をあげておきます。
- ・プロローグ
- ・ペンギン
- ・チンパンジー
- ・アフリカハゲコウ
- ・キリン
- ・エピローグ
- ・本書に登場する動物園