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2017/01/28 『おっぱいの進化史』(本の紹介178)

今回紹介するのは、『おっぱいの進化史』(浦島 匡・並木美砂子・福田健二著, 技術評論社, \1880, 2017/2)という本です。著者の浦島先生は、私(有原)の出身研究室の先輩です。学究肌のたいへん研究熱心なミルク化学者です(帯広畜産大学・教授)。本書の出版を教えていただいたとき、正直なところ、難しくて親しみにくい本なのだろうと思ってしまいました。しかし、実物を読んでみて、その予想はまったく間違っていました。本書の謝辞に、「当初は化学記号の多い難解な内容であった文章を非常にわかりやすくし、そして読者が興味をもつように構成してくださった・・・」というくだりを見つけて納得しました。やはり、もともとは浦島先生らしい原稿だったのでしょう。文章に加えて、随所に挿入されているイラストも素晴らしく、多くの方々が魂を込めて作った本であることがうかがえます。



本書のタイトルにある「おっぱい」は、哺乳類の乳汁(ミルク)を指しています。脊椎動物の中でも、乳汁を分泌するのは哺乳類に限られています。鳥類、爬虫類、両生類、魚類といった脊椎動物にとって、乳汁は無縁な存在です。ではなぜ、哺乳類という動物グループが地球上に登場したのでしょうか。そんな疑問に、本書はわかりやすく興味深く答えてくれます。また、「発酵乳のふしぎ」と「乳利用の歴史」という章が設けられ、本書の内容に厚みを加えています。さらに、「おっぱいはどこにある?」、「オスは子育てに参加する?」、「動物園の人口哺育」、「おっぱいの神様」といった著者以外の方々が執筆したコラムも、魅力的なテーマを扱っています。

以下に、本書の目次をあげておきます。

  • 序章 おっぱいとは何か?
  • Chapter 1 おっぱいの中には何がある?
  • Chapter 2 哺乳類のおっぱい
  • Chapter 3 おっぱいで育つ動物の進化
  • Chapter 4 発酵乳のふしぎ
  • Chapter 5 乳利用の歴史

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