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2017/03/15 『あなたの体は9割が細菌』(本の紹介181)

今回紹介するのは、『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』(アランナ・コリン著, 矢野真千子訳, 河出書房新社, \2000, 2016/8)という本です。私たちの腸内には、100兆個もの微生物がいると言われています。本書のタイトルは、ヒトの細胞1個に対して、腸管などに棲息する微生物の細胞は9個にも及ぶということを意味しています。現在では、この膨大な微生物の存在が、私たちの健康に密接な関係を持っているということがよく知られるようになりました。このようなテーマを扱った書籍も多く、入門書(怪しげなものもあり)から専門書まで、幅広く手に入れることができます。本書の著者は、進化生物学の博士号を持つイギリス人のサイエンス・ライターです。生物系書籍の翻訳を多く手掛けてきた訳者による日本語は自然なもので、どんどん読み進むことができます。入門書としてはややボリュームが大きいですが、この分野のしっかりとした知識を得たい方にはお薦めしたい1冊です。



本書では、近年しばしば話題にあがる腸内細菌と肥満の関係が詳述されています。また、現代病とも言われている自閉症、アレルギー、自己免疫疾患といった疾病にも腸内細菌が密接にかかわっていることが論じられています。ヒトゲノム・プロジェクトの完了により、健康や病気の謎の多くが解明されると考えられていました。しかし、それには体内に棲息する微生物ゲノムの総体(マイクロバイオーム)の解読を待つ必要があるようです。本書でも紹介されている米国国立衛生研究所の「ヒトマイクロバイオーム・プロジェクト」など、巨大プロジェクトの成果に期待が寄せられています。

以下に、本書の目次をあげておきます。

  • 序 章 人体の90%は微生物でできている
  • 第1章 21世紀の病気
  • 第2章 あらゆる病気は腸からはじまる
  • 第3章 心を操る微生物
  • 第4章 利己的な微生物
  • 第5章 微生物世界の果てしなき戦い
  • 第6章 あなたはあなたの微生物が食べたものでできている
  • 第7章 産声を上げたときから
  • 第8章 微生物生態系を修復する
  • 終 章 21世紀の健康

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