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2017/08/15 『「香り」の科学』(本の紹介185)

今回紹介するのは、『「香り」の科学 匂いの正体からその効用まで』(平山令明著, 講談社ブルーバックス, \1000, 2017/6)という本です。本書でも触れられていますが、香り(匂い)は非常に身近な情報にもかかわらず、私たちは嗅覚について詳しく学ぶ機会がほとんどありません。あらためて考えてみると、視覚、聴覚、味覚といった感覚に比べ、私たちの嗅覚に関する表現力は驚くほど乏しいことに気が付きます。

本書は一般書ですが、香りや嗅覚について、かなり高いレベルで解説されています。個人的には、香りの研究手法について詳しく記述されているところが嬉しかったのですが、一般の読者にとってはややイメージしにくいかもしれません。また、「香りの分子の効能」の部分は、私たちの研究室が開発を目指している「香りの機能性食品」にも関連しており、実に興味深い記述があります。「おわりに」の最後に、「本書に触発され、「良い香り」の研究に進む若い研究者がたくさん現れることを切に期待しています。」という記述を見つけ、大いに納得しました。



以下に、本書の目次をあげておきます。

  • 第1章生活を彩る香り
  • 第2章自然界から得られるさまざまな香り
  • 第3章香りを感じる仕組み
  • 第4章香りをどう表現するか
  • 第5章香りの分子を突き止める
  • 第6章香りの分子の化学
  • 第7章匂いを測る
  • 第8章天然由来の香りの分子
  • 第9章天然香料から合成香料へ
  • 第10章香りの分子の効果と安全性
  • 第11章快い香りの秘密

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